2003年5月24日感想1

後部デッキで和気藹々、市川氏らの写真

文 市川亜矢子

海には道がありません。自分で道を決めて進みます。そして、風や波、不可抗力の自然を読みながら、進みます。そんなことを感じた今回の私にとって生まれて始めてのセーリングでした。

この日は海も風もとっても穏やかで、「こんなに穏やかなのは、2年ぶり位かな。」と、一緒に乗ったベテランの方がおっしゃる位でした。
天気は霞のかかった晴れで、日差しも強くありませんでした。

ヨットの泊めてある三崎マリーナからエンジンをかけて出発し、沖に出るとそこでエンジンを切ります。そして、ヨットの帆を出します。「ばっ!」という何とも爽快で力強い音がして帆が開きました。帆は2枚。この帆の間にうまく風を通してヨットを動かすのです。風の力だけでヨットは動きます。風の音と、波の音だけが聞こえます。なんて素敵なんでしょう。

しばらくして舵を取ることになりました。ヨットの一番後ろに付いている長い木の棒を持ちます。左に動かすと船体は右に、右に動かすと船体は左に行きます。ヨットの帆にあるテープのなびき方を見ながら、風をうまく捉えて、舵を取ります。

ところが、さすが運動音痴の私です。あっちにふらふら、こっちにふらふら、のろのろ、、、。たまにクルーザーの通った大きな波が来ると「ぎゃぁ!」と騒いで、みんなは大爆笑。だめです。乗り物は乗せてもらうに限ります。(ただしオートバイ以外)

しばらくして、江ノ島付近まで出ました。江ノ島から三崎までの海沿いの道は、何度も何度もオートバイで走っていますが、こうやって海の上から見ると、圧巻です。海って広いです。そして、いつもとは違った角度の裏側から見る江ノ島もなかなか良いです。そこで帆を降ろしてランチタイムになりました。

帰りは、船の前方に行き、仰向けになって寝てみました。暖かい日差しと、流れる風と、波の音。最高の子守唄に、思わず眠ってしまいました。気が付くと、今回一緒に参加した幼馴染の久野さんも私の隣で横になっていました。

「波の音って、嫌がる人っていないんだって。波の音ならばどんなに大きくても、うるさいと不愉快に感じる人はいないんだってね。」と、彼女は言います。人類共通の「原風景」というものでしょうか。本当に心地がよいです。

今でもまだ、目を閉じると波の音が聞こえ、ヨットの揺れを思い出します。もう一度あの世界に会いに行きたいと思います。最後に、今回誘ってくれて私に新しい世界を教えてくれた川添さん、他のメンバーの皆様、ゲストの皆様、素敵な一時をありがとうございました。

次の記事

2003年5月24日感想2