第4回全日本選手権2003 レポート 齊木英夫 

第4回ブラインドセーリング全日本選手権
2003年10月11日(土曜日)~12日(日曜日)

文  中島量敏氏(審判委員長)
編集 齊木

11日は朝から6メートル?7メートルのブローが吹く気配がありましたので出艇は、5人クルー、ワンポンで出艇とした。富士マリーナ?舘山寺の湾を出て700メートル位の海面はまだ4メートル毎秒くらいの風でしたが、スタートエリア付近に近づくにつれやや風速も上がりだした。
風軸90度、風速5メートル?6メートルで14時40分にスタート練習の予告信号、14時45分にスタートを行い、いよいよ本番です。(選手も、海上スタツフもなごやかな中で練習終了)

14時55分予定どうり第1レース予告信号。 14時59分30秒で気合の入ったチーム浜2が本部線の真下を通過、郷スキッパーの「早い、早い」の声が聞こえる。他艇は浜2より1艇身下がっている。スタート3秒、前浜2 すでに出ている。スタート時は1艇身リコール。二番目の艇はジャストスタート。X旗掲揚で浜2戻る。レース艇は、左右の海面を気持ちよく滑っている。
上マーク付近のポートで落とされ、スターボーで上る風の中、スタートから8分で先頭艇回航。その後も1、2艇身の差で次々4艇目まで回航し、5、6番手は少し遅れた。
先頭艇がスタートラインに近付きかけたとき、レース委員長の小笠原さんが「まさかリミットを回る艇はいないよなー。」と言っていたらそのまさかを先頭艇 (Gentlesチーム)がやってしまいました。後続艇がどんどん下マーク方向へ下る中50メートルほど走ったところでやっと「やばい」と思ったのかベアーし始める。先行した艇団が下マークへ近づいた時、今度は1艇が 360度回転をしている。マークタッチでもなさそうだし、360度は?。回転したのはハヤテ(KAMMチーム)です。
その後も息が抜けない接戦を演じながらぼちぼちいこかチームを先頭に6艇無事フィニッシュ。360度回転したハヤテは2位。

2レース目はやや北にシフトした風に合わせ、風軸をずらし距離も少し短め(上、下とも200メートル位短くする)。コース設定後2レース目スタート。1レース目のリコール艇ありに腰が引けたのか全艇ともスタートラインより 1艇身低い消極的?(安全?)なスタートだった。
全艇とも右海面中心のコース取りで上マークへ到達し、ゾロ、ゾロと1、2艇身差の僅差で上マーク回航。スタートから5分30秒くらいの所要時間。今度のくだりはリミットマークを回る艇も無く、と思った矢先に浜2が1回転、後続艇に注意しながら更に1回転してしまいました。(やはり接戦での軽微の接触)
下マークを1位回航したハヤテ(KAMMチーム)はポートで少し伸ばしその後、上りのブローを的確に拾い今大会、最初で最後のダントツの走りを披露しました。他艇も右海面中心のコースを展開し、時折45度程ヒールも楽しみながら混戦で上マーク回航。(ハヤテ(KAMMチーム)は100メートル位先に1艇だけ余裕で回航済み。)後続艇が下りのレグでスタートライン付近を通過するころはほぼ横一線の接戦状態で今大会を象徴する場面でした。
下マークを余裕の1位回航したハヤテ(KAMMチーム)でしたが、長いフィニッシュラインのフィニッシュ位置の関係でリミット側でフィニッシュした2番手にかなり詰められたトップフィニッシュでした。(コースを短く設定したつもりでしたが40分以上のレースになりました。)
帰着後抗議提出があり、審問結果、1レース目のハヤテが失格になりました。720度回転を360度回転のみだった為です。

12日は朝から無風状態で海面上でも待機時間が長くなり、選手の集中力維持が辛い状況。時折入る2?3メートルの風をやり過ごし、覚悟を決めやや霧雨の中、11時00分予告信号のホーン。
11時05分にオールフェアでスタート。(待ちくたびれたせいか、1艇身以上へこんだスタート)今日はスタート直後も、レース海面も左海面からの風を拾った艇が有利に展開している。
1下を先頭艇が回航するのに25分近くかかりそうなので、 2上でコース短縮(コース短縮でのフィニッシュラインはレース艇の不公平等をなるべく無くすためより短くすべきですが、今回は安全性重視で長めに設定し、トラブル無く無事6艇フィニッシュ)。
フィニッシュ時は少し残っていた風もほとんどなくなり、昼食を取りながら12時40分予告信号の予定を選手に伝える。しかし風は見えず、回答旗で延期。13時30分上空から日が差し、風を予感させる状況になりつつある。13時50分には北側の浜交マリーナ付近に一筋のブローが見える。しかし14時00分に届かず、回答旗降下、L旗掲揚にて中止を伝える。レガッタ終了。

コメント

今大会では、選手、スタッフとも各チームのレベルの接近を感じ、今後もスリリングなレースが楽しめるとおもいます。それだけに、2回発生した軽微な接触等への早めの対応、又ダウンウィンドレグでのコースの決め方、メインシートの極端な締め込み過ぎ、逆にメン、ジブのルーズ過ぎるセッティン等レベルが上がってきたからこそ、注意が必要な贅沢な注文も出てきます。
障害を抱えてる皆さんとそれをフォローする皆さんの素晴らしいエネルギーに触れられた事感謝します。地元のJBSAスタッフ、HYCの関係者皆さん、富士マリーナさんのご協力により無事レースが運営できた事感謝します。ありがとうございました。