2011年1月 JBSA東京 セーリングレポート

皆様、はじめまして。
東京支部新人、ブラインド会員の岩下と申します。
1月23日(日)「アホウドリ」のセーリング報告を申し上げます。

まだ乗艇4度目の素人で、トンチンカンな点のあるリポートですが、今後、Seamanshipの急成長を目指しております。
どうかよろしくご指導下さい。

参加者:サイテド:橋本、谷下田、小柴
    ブラインド:内村、宇田川、湯川、岩下

天候:晴れときどき曇り。最高気温約10度、午前中、北または北東の風、
   午後2時30分頃から東寄りの風、風速最高で5~6米

北風の強かった午前中はこごえるような寒さでした。
念のためにホカロンを2個携帯しましたが、それでも体の震えが治まりませんでした。
10時10分、夢の島マリーナを出港。機走で京葉線のガードを越えて約20分後、メインセール、ジブセールを揚げ帆走開始。
タッキングやジャイビングなどの用語も知らない初心者に合わせてセーリングの基礎用語解説が始まりました。その中で僕が理解したのは右舷のことを「スターボードサイド」と言い、左舷を「ポート(港)サイド」ということ、「スターボード」とは、starboard「星で方位を知る側」或いは、昔「ステアリングボード
(舵取り板)のあった側であったことからついた名称で、2艇がコース上競合する場合は、風下艇、或いはスターボードから風を受ける艇が優先権を持つということでした。
つまり港に接岸している艇は、昔は基本的に桟橋寄りの左舷側から乗り降りしていたという訳なんですね!知りませんでした。

舵を取る一番手は内村さんで、僕は反対側の右舷に座っていたが、結構風が強く傾きも大きかったので、内村さんから「君が重すぎるんじゃない?」とあらぬ疑いをかけられました(笑)。
2時過ぎ、やや風が弱まり、日ざしが温かく感じられるほどになった頃、宇田川さんに続いて、ティラーを握らせてもらいました。
橋本さんが「ちょい押し」、「もう少し上って」、「ちょっと引いて」などとその都度細かく指示してくれました。正直、このとき初めて「上る」と「押す」が同義でティラーを押して、艇を風上に向けること、「引く」と「おりる」が風下に向けることを
理解しました。
しかし、それによってセールがどう動いているのかは、まだ分かりません。そもそもヨットが風に向かってどうして前進できるのか僕には、まだ説明できません。
ネットの説明によると「ベルヌーイの定理」が関係しているということですが、数学に疎いものですから、どなたか改めてレクチャーしてください。

正直のところ当初、入会は考えていませんでした。というのも、どこのブラインド関連NPOでも必要としているのは活動をサポートしてくれるサイテドであって、単独歩行に不自由はないとは言え、ブラインドばかり増えると身動きが取れなくなることを良く理解しているつもりだったからです。
たぶん、Yさんから「閉じ籠りがちな視覚障害者の一人でも多くに、爽やかな海上に出てもらうこと、新しい交流の機会をもつことも、目的の一つなんです」と励ましてくれなかったら入会しなかったと思います。

その一方で、艤装を初め、荷物搬入などの出港準備から帰港後の搬出、ゴミ捨てなどの作業は全てサイテドが担っており、最寄り駅からマリーナへの移動もサイテドの自家用車に分乗していることを思うと、ブラインドセーリングなどと謳うのは、おこがましいような気もしました。米国ではブラインドが単独でセーリングにチャレンジしているという話を聞きました。
風の変化を体で感じる鋭い感覚と音声GPSナビなどアクセシブルテクノロジーを駆使することで、いつの日か多くのブラインドがサイテドを頼らずにセーリングを楽しめる時が来ると思います。と同時に、セーリングを通して多くのサイテドにブラインドのことを理解してもらうことも大事なことだと思います。

例えば、「3時の方向に鳥が群がっている。何だろう?」と谷下田さんが不思議そうにつぶやきました。
「東京スカイツリーが大分高くなりましたねえ。」小柴さんが感嘆の声を挙げました。
セーリングの間、まるで自分で見ているかのように周辺の視覚情報を集めて想像できるのは、サイテドが同乗して、今見えている光景を自然に言語化してくれるからだと思います。
だから、コミュニケーションを円滑にするために、時には艇内で飲食を楽しむようなことがあっても良いのかなと思います。

感想文のような報告になってしまい失礼しました。自称「Uボートオタク」で海が大好きな性分です。
引き続きご指導よろしくお願いします。
U-Boat初め、潜水艦のことなら何なりとお訊ね下さい。

PS, ジャイブとタックの違いについて、ネット検索して発見したヨット用語集に定義がありました。しっかり覚えます(笑)。
「風下に向かって走るとき、右舷側から左舷側、あるいはその逆のように風を受ける方向を変えることをいい、風上に向かって走る場合の方向転換=タッキングと対になる言葉。