albatross07

≪引田?関空マリーナ≫ 2004年4月18日

回航3日目は、引田から鳴門を通って、関空マリーナまでの約48マイルのクルージングです。この日も、天候は快晴。しかし、前日の夏を思わせる暑さとは打ってかわって気温は低く、肌寒い一日でした。天気予報によると、この日は午後から西から崩れてくる、と言ってました。

風は、天気予報の予想通り、引田を出てから鳴門の渦潮で有名な名所を通過して、淡路島に添って北上する昼過ぎまで微風でした。ですが、あほうどりが友ヶ島水道に差しかかった午後2時過ぎから風が上がりだし、3時には15メートルくらいの強風になりました。

午 前8時30分、私たちは引田を出て、先ず鳴門を目指してあほうどりを走らせました。右手に四国を、左手に瀬戸内海の島々を眺めながら、あほうどりは快調に エンジン音を立てて走って行きました。しかし、この日は前日のように潮に乗ることが出来ず、艇速はあほうどりの機走の平均である5.3ノットでした。

午 前10時30分、引田から丁度10マイルの瀬の肩鼻を通過したところで、あほうどりは、名所大鳴門といわれている鳴門海峡に向け、120度に変針しまし た。そして走ること10分、鳴門大橋が見えてきました。すると、それまで艇速5.3ノットしか出ていなかったあほうどりが、潮に乗って艇速8ノットに一気 に上がりました。

午前10時45分、いよいよ鳴門大橋通過です。その向こうは大鳴門の有名な渦潮。そのとき、 あほうどりの横を渦潮観覧の帆船がすれ違って行きました。秋山さんが手を振ったら、観覧船のデッキに出ていた100人以上の乗客全員が一斉に手を振り返し ました。これには秋山さんもびっくりした、と言っていました。きっと「気をつけて行けよ?!」ということだったのかもしれません。

私たちは、大橋を越えたところで恒例の記念乾杯をしよう、と各人がビールを手に持ちその瞬間を待っていました。
そして鳴門大橋通過。すると、あほうどりの艇速が見る見るうちに10ノット、11ノットと上がり、目の前は渦潮で海面は白く波立ち、大きくうねっていま す。私はそのとき、船の風上側ドッグハウスの上で、日当たりが良く暖かいところに、海を眺めながら座っていました。
渦潮の接近に伴って艇速が上がり、竹内さんがGPSに表示される対地スピードを読み上げていました。11ノット、12ノットと艇速が上がり、私はそれを聞 いていて、そこに座っていてはそろそろやばそうだな、と思った瞬間、竹内さんが15ノットだ!と叫びました。すると、あほうどりが渦潮に突っ込んで、艇が 激しくロールし始めました。
私は、慌ててドッグハウスの上からデッキの中に入ろうとして、手に持っていたビールをひっくり返してしまいました。
あほうどりは、さらに激しくロールし、渦潮の中を抜けて行きました。皆で乾杯しようとしていたのですが、乾杯する間もなく、渦潮の中を通過したのです。気が付くと、鳴門の大橋が後方に見えていました。

鳴門を超えるとき、私がビールをひっくり返したのを見ていた竹内さんが、私にこう言いました。
「あほうどりにも乾杯させていたね!」

渦潮の様子は、潮が波ではなく階段のように段々になっていました。それを越えると、潮がまた海底から湧き上がってくるような、もの凄い圧力を感じました。あほうどりは、その上を通り過ぎて行ったのです。

私たちは、鳴門海峡を通過してから、淡路島を左手に眺めながら、あほうどりを走らせていました。相変わらず風がなく、あほうどりは機帆走で、穏やかな海の上をコトコトと進んで行きました。
私たちは、淡路島は大きいねえ、なんて話ながら、ビールを飲み、昼食をとったりして、のどかな時間を過ごしていました。その後、私はビールを飲んでほろ酔い気分になり、バースで一休みしました。

し ばらくして、私は、船がロールしているのに気が付き、目が覚めました。そしてキャビンを出ると、あほうどりは友ヶ島を交わそうと、アプローチしているとこ ろでした。この友ヶ島も潮流の強いところで、丁度向かい潮の悪い潮にぶつかってしまいました。その上風も上がり、南西からの強風のため三角波が立って、艇 速も3ノット前後に落ちてしまいました。

友ヶ島を越えてから風はさらに上がり、私たちはエンジンを止め、セーリングに切り替えました。すると、あほうどりは、クウォーターの風を受けて艇速6ノット出てました。
私たちは、ジブも上げて、艇速をより稼ごうとしたのですが、風がかなり強くなっていたことに加えて、ジブセールのフットが少し破れているのを見つけ、結局メインだけで走ることにしました。
それでも、艇速はコンスタントに7ノット近く出てました。

風は一層強くなり、竹内さんが15メートルは出ているなあ、とつぶやきました。スタン方向から強い風がどんどん入っていました。そして、艇もヒールしたりロールするようになり、竹内さんから全員ライジャケ着用と声がかかりました。
私は、ライジャケはいつも出航のときから身につけているのですが、さらにハーネスを着けました。サイテッドも、皆、ライジャケとハーネスを着用しました。 そして、竹内さんからメインをいつでも下ろせるようにして、との指示がありました。回航パート1初めての緊迫の場面です。

しかし、私たちはメインを下ろすことなく、そのまま艇を走らせ関空に向かいました。午後4時、遠方に関空が見えてきました。強風とはいえ、風が上がったお陰で、その分艇速が得られたので、なんとか予定通り6時前には関空マリーナに到着できる見込みになりました。

日がいよいよ沈んでいこうとしている夕刻、私たちは、関西空港に着陸間近のジェット機が、キーンという轟音を立てて、低空飛行で頭の真上を通過して行ったかと思うと、遠くから逆噴射の振動を腹に感じて、関空の誘導路を横切って行きました。

そして午後5時45分、あほうどりは、ようやく関空マリーナに到着しました。回航パート1、無事終了です。

パー ト1、3日目は、かなり盛りだくさんな一日になりました。穏やかな瀬戸内海をクルージングし、大鳴門の渦潮を越え、淡路島を横切りました。そして、紀伊水 道に入り、今航初のセーリングらしいセーリングは出来たけど、強風に煽られながら北上し、関空マリーナに向かいました。

関 空マリーナでは、この度私たちがお世話になっているハーバーマスターの岸本さんと握手を交わしました。マリーナのご厚意と岸本さんの計らいで、私たちのあ ほうどりは、次回パート2の出航日まで係留させていただけることになっています。そのとき岸本さんは、これも一つの出会いですから、といって一人一人に名 詞を手渡してくれたのが印象的でした。さらに岸本さんは、私たちを空港までクルマで送ってくださったのです。
岸本さんについては、KAZIの04年3月号掲載の記事、関空マリーナのところで、写真入りで紹介されています。

今回の回航では、いろいろな出会いがあったと思います。
そして私たちは、それらの人々の真心によって、この旅が支えられていることを良く実感しました。皆さんどうもありがとうございます。

5 月1日からは、あほうどり回航パート2が始まります。今度はオーバーナイトありの、ワンレグ100マイル超のロングクルージングとなります。24時間のロ ングランの中には、天候も激しく変化すると予想されます。それだけ厳しい場面もあるという覚悟を持って、行ってまいります。
ですが、細心の注意と緊張感を持続しながら、クルージングを楽しんでこようと考えています。なかなか味わえない経験だと思います。安全には十分に気をつけて、皆さんが待つ夢の島に、あほうどりを回航してまいります。

あほうどり回航記