≪回航パート2 航海計画≫

回航パート2(関西?東京編)は、パート1(瀬戸内海編)のようなデーセー リングではなく、一つのレグが100マイルを超える、基本的にオーバーナイトのロングランです。パート1のレポートの最後に、パート2は厳しい航海になる ことを覚悟していると私は書きましたが、それは想像していた以上のものとなりました。
このパート2がそのようなものになるであろうということは、4月に実際の回航が始まる前からある程度予測はしていました。

2月に夢の島で東京クラブの会合を持った時に、あほうどりの回航の時期が話題になりました。その時、5月は海が荒れる、連休中は必ず吹く日が一日はある、回航は3月下旬にしたいね、と言われていました。
しかし実際の回航計画は、休みを取る都合との関係で、4月の週末と5月の連休を使っての2回に分けて行われることになりました。

その日程を見た時、私はパート2は強風で出られない日があるかもぐらいに思っていました。しかし4月に回航パート1を経験して見ると、鳴門から関空マリーナを目指した最終日の後半に、海が相当時化ました。
途中、淡路島まであんなに穏やかだった海が、友ケ島に差しかかった辺りから風が上がり出し、短時間のうちに天候が変わって15メートルもの風になってしま いました。そして船は追い波を受けながら強風に押され、激しくローリングを繰り返しました。

私はこの体験があったのでパート1のレポートの最後に、パート2はオーバーナイトのロングクルージングなので、厳しいものになると覚悟して行って来ます、と書いたのです。とはいっても、先ほどの回航パート1の最終日に海が荒れた時ぐらいの程度に考えていました。

4 月26日(月)午後7時、パート2開始前のこの日、私たち回航メンバーは竹脇さん宅に集まり、出発前の最終打ち合わせを行いました。テーマは、航路と装備 の最終確認です。その時主に話題の中心になったのは、海が荒れた時どこに逃げ込む港があるかでした。特に那智勝浦?下田間の行程の内、遠州灘に避難する泊 地があるかでした。

それについて、飯島さんや齋木さんから寄せられた情報を参考に検討がされました。しかし、結局遠州灘には入れるところがない、という結論になりました。泊地となりそうな港は、何れも天竜川やその他河川の河口であることから、時化た時に近づくのは危険と判断されたのです。

そ ういう訳で、遠州灘を無事に通過することが、この航海の一つの山とされました。あとで竹内さんが言ってましたが、遠州灘は時化ると悪い波が立って、三角波 が巻き波となって襲ってくるところだ。過去それにやられて何人ものヨットマンが命を落としている。それで気象が悪化した時には沿岸には近づけない、と強調 していました。

その他にワッチの体制が決められました。日中4時間、夜間3時間づつの交代で、秋山、児玉、林の3人のグループと竹内、坂本、村井の3人のグループに分かれて、ワッチが行われることになりました。

坂本さんは、皆さんご存知の通り竹内さんのスピーディーブルーのメンバーであり、JBSAのメンバーでもあるベテランのヨットマンです。そして坂本さんは、竹内さんと共にあのカラスで、外洋レースを何度も経験し、活躍したセーラーなのです。
坂本さんの今回航の予定は、はじめ5月1日から3日までの部分参加となっていたのですが、出発の一週間前になって、彼から5日までフル参加出来ると連絡が あったそうです。「一気に夢の島まで持って行きましょう!」という心強いメールが届いたと秋山さんが言っていました。
そして事実、坂本さんが今回航に加わったことが、大きな力を持つことになりました。坂本さんの乗船なくして、私たちだけの力ではあの荒波を越えてくることは出来なかったでしょう。

このようにパート2の打ち合わせが行われましたが、5月は海が荒れやすいことから、下田に着ければ良いぐらいの心づもりで行きましょう、との結論で、次のような計画をたて、ミーティングが終りました。そして私たちは航海の安全を願って、出発祝いの乾杯をしました。

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●第1レグ(5月1日?2日)
関空マリーナ → 那智勝浦 約100マイル
関空マリーナ出発 5月1日(土)午前11時頃
那智勝浦到着   5月2日(日)午前8時頃予定

●第2レグ(5月2日?3日)
那智勝浦 → 下田 約160マイル
那智勝浦出発 5月2日(日)午後2時頃
下田到着   5月3日(月)午後6時頃予定

●第3レグ(5月4日)
下田 → 浦賀ヴェラシス 約60マイル
下田出発 5月4日(火)午前6時
浦賀到着 5月4日(火)午後6時頃予定

●第4レグ(5月5日)
浦賀ヴェラシス → 夢の島マリーナ 約40マイル
浦賀出発  5月5日(水)午前8時
夢の島到着 5月5日(水)午後4時頃予定

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以上の基本計画をもとに、いよいよ回航パ-ト2がスタートすることになりました。