第6回世界選手権2006 3度目のチャレンジに向けて 川添由紀

文 川添由紀(B1ヘルムスパーソン)

 私は9月にニューポートで行われる2006年ワールドブラインドチャンピオンシップにB1クラスのヘルムスパーソンとして出場することになりました。B1クラスというのは、全盲のクラスです。私は1歳半のころ病気であることがわかり手術したので、見えるというのはどういうことなのかも記憶にはありません。子供のころから海が大好きだったので、ブラインドセーリングを知ってすぐにJBSAに入会、クルージングやレースを楽しんでいます。体全体で風や波、スピード、傾きなどを感じて、ヨットが走る音を聞きながらセーリングをしています。

 ブラインドセーリングの世界大会は、ブラインド(視覚障害者)2名と晴眼者2名、合計4名が1チームとなりレースを行います。ブラインドの2名は、ヘルムス(舵取り)とメインシートトリマー(大きいほうの帆の調節をする人)を、晴眼者の2名は、ジブシートトリマー(小さいほうの帆を調整する人)とサイテットスキッパー(状況説明などを言葉のみで行う人)を、それぞれ担当します。

 今回のB1クラスは、メインシートトリマー竹脇義果さん、サイテットスキッパー安西常雄さん、ジブトリマー日高茂樹さん、ヘルムスが私というチームメンバーになりました。みんなJBSA発足当時から一緒に活動してきたメンバーなのですが、この4人でチームを組んだのは今回が初めてです。4人とも世界大会の出場経験があり、竹脇さん・日高さんは、日本がワールドブラインドチャンピオンシップに初出場したウェイマスの大会のB2クラスで、銅メダルを獲得しています。

 私はこれまで2回の世界大会に出場しました。1回目は1997年にイギリスのウェイマスで行われた第3回ワールドブラインドチャンピオンシップで、B3クラスのメインシートトリマーとして出場し6位でした。2回目は2002年にイタリアのガルーダ湖で行われた第5回ワールドブラインドチャンピオンシップに、B1クラスのヘルムスパーソンとして出場し8位でした。いずれも決して良い成績とは言えず、世界の壁の高さを痛感させられましたが、いつかきっとメダルを取りたいという気持になり、それが私の大きな目標となりました。

 ニューポートで行われる第6回ワールドブラインドチャンピオンシップは、私にとって3回目のワールド出場となります。これはJBSA10年目の節目の大会でもありますので、気持としては金メダル獲得を目指しています。これまで経験してきたことを活かして、チーム全員がそれぞれの力を出し切って、後悔することのないようにレースに臨みたいと思います。私としては、チームのメンバーの足を引っ張らないように、そしてミスをしないようにしながら、レースを楽しんで気持良く走ることができたら最高です。

 最後になりますが、ワールド出場という機会を得て、貴重な経験ができることを本当に幸せに思っています。そして、ご支援してくださっている方々、いろいろなところで応援してくださっている方々に感謝申し上げます。