第7回世界選手権2009 NZワールドレポート 川添由紀

NZワールドレポート

TeamYuki 川添由紀

 私たちのチームは2007年に結成されました。2009年に行われるニュージーランドでのワールドに参加し、メダルを獲得したいというのが目標で作られたチームです。メンバーは、サイテットスキッパー安西さん、ジブトリマー村上さん、メイントリマー瀬川さん、ヘルムスが川添で、チーム名は「Team Yuki」と決定しました。みんなそれぞれの人とはチームを組んだことのあるメンバーでしたが、この4人でのチームは初めてでした。チームワークを良くし、何でも言い合えるチームにしようということで、少なくとも月1回は練習あるいは飲み会で4人で会うことから始まりました。

 このチームでの最初のイベントは、みんなで浜名湖に行き、練習させてもらったことです。雨にもかかわらず、浜名湖のサイテットの方々がたくさん参加してくれ、とても良い練習ができました。浜名湖の皆さん、ご協力ありがとうございました。

 次は、いよいよ初めてのレース参加です。浜名湖で行われた第7回の全日本ですが、結果は3位と、最初にしてはまあまあというところでした。次はシーボニアで行われた第8回の全日本ですが、この大会はワールドの予選も兼ねていたので、ワールド予選組の3位までに入らないと、ワールドに出場することができません。結果は何とかワールド予選の3位になり、出場できることになりました。チーム結成してからワールドに行くまでの間、ハゼドンのメンバーのご協力で一緒に練習していただいたり、ハゼドンをお借りして練習をさせていただいたりして、町田さんをはじめ、多くの皆さんのご協力をいただきました。皆さんのご協力、どうもありがとうございました。

 2009年3月13日、いよいよニュージーランドワールドが始まりました。初めの2日間は練習日となっていて、わりと微風の中で練習をしました。今回はロトルア湖という湖でのレースだったので、風が振れていて、強弱の変化もあり、それに加えて、ブローも落ちるブロー、上るブローだけでなく、弱めのブローがあったり、強めのブローがあったり、結構大変でした。それに強風になると、変なうねりが出てきて大変だったというのが私の率直な感想です。

 3月15日、レース1日目です。私たちはB3チームに出場したのですが、今回の参加チームは5チームでした。出だしは、第1レース4位、第2レース5位というものでした。スタートは結構いいのですが、4位・5位が定位置となってしまっていました。この日、レースが始まったころはそんなに強い風ではなかったのですが、だんだん強くなっていきました。第3レース、第1上マークに向かっている途中、ポート・スターボのケースでカナダのチームとぶつかってしまいました。
ぶつかるちょっと前、みんなが無言になって、「もう駄目なのかな、どうしたらいいんだろう?」と思っていると、ガーンとすごい音がして、かなりの衝撃がありました。私たちはスターボだったので悪くはなかったのですが、精神的ダメージが残ってしまいました。とにかくそのレースは4位でフィニッシュして、1日目は3レースで終了しました。

 16日は風がなく、1日中、ヨットの上で風待ちをして終わりました。

 17日、予定では予備日になっていたのですが、前日にレースができなかったので、レース日となりました。この日は朝から雨が降ったり辞んだりしていて、だんだん風も出てきて、雨に加えて、強風でのレースとなってしまいました。私はぶつかったショックがいまいち抜けきれずにいたのに加えて、強風の中のレースで、この日が今回のワールドでいちばんつらい1日でした。

 これは今だから言えることですが、私はレース中、何度か、もうレースをやめたいと思っていたことがありました。強いブローが来るとオーバーヒールしてしまって、それが何度も続くと怖くて、ティラーを持っているのがとても嫌でした。強風で風も振れていて、変なうねりもあったので、ランニングのときはワイルドジャイブしてしまうのがいちばん怖いと思っていました。それに結構接戦のレースが続いたので、すごく緊張していたし、恐怖心もありました。強風で声が聞こえづらくなってしまって、大声を出し合わないと会話ができない状態で、いつもなら聞こえる村上さんと安西さんの会話が聞こえないので、周りのことが全然わからなくてとても不安でした。この時、いつも当たり前のように聞いている会話が私にとってとても大きな情報になっていたことを改めて思い知らされました。そんな中でも怪我もなく無事にこの日行われた4レースを終了することができて、本当にほっとしました。ただ、この時点で4位のカナダと6ポイントも離れてしま
いました。

 18日はレースがなかったので、1日のんびり過ごすことができました。

 19日からは風が少し落ちて、やっといつもの私たちの走りができるようになってきました。船にも慣れてきたということもあって、3位争いにも加われるようになり、だんだんチーム状態も良くなっていきました。そして、4位のカナダに3ポイント差まで追い付きました。

 20日は、私たちにとって、いちばん良いレースができました。チーム状態がとてもよくて、みんながそれぞれの役割をきちんと果たして、良い走りができていたと思います。トップ争いにも加われるようになって、「今、トップ3艇で並んで走っているよ」と言われたときは、とてもうれしかったです。この日は3レース行われて、3位、4位、3位だったので、カナダを抜いて2ポイント差で4位になれました。

 21日も一応レースをしたのですが、B2、B3チームはノーレースとなったので、これでニュージーランドワールドは終了しました。今回は全部で14レースが行われて、結局3位より上には一度もなれませんでしたが、いつも接戦の良いレースができ、ほかのチームの人の声がすごくて、私たちが怒られているみたいに感じて怖いぐらいでした。

 この約2年間、練習やレースでチームの皆さんにはいろいろとご迷惑をおかけしてしまったのに、誰も怒ったり文句を言ったりしないで、いつも「由紀ちゃん、由紀ちゃん」と、みんなが一番に私のことを考えてくれていました。そして、チームワークでは決してどこにも負けていない良いチームだったと思っています。楽しい時間を過ごすことができて、メンバーの皆様には感謝しています。そして、一緒にメダルに挑戦できたこと、とても嬉しく思っています。

 今回もまたメダルに届かなかったのはとても残念ではありましたが、貴重な経験ができて本当によかったと思います。今後は、強風の中で軽量でもちゃんと走れる技術、そして接戦で勝てるような精神力と技術を身に付けて、いつかメダルを手にできたらというのが私の一番の目標です。

 最後になりましたが、ご支援・ご協力、そして応援していただいた多くの皆様に感謝申し上げます。どうもありがとうございました。