N・Cチームの訓練

文 鈴木克己(東京支部)

「N・C(ニュー・チャレンジ)チーム」がシーボニアでルミナスの訓練を行いましたので報告します。

日時  2006年4月29日 9時30分シーボニア集合
天気  曇り時々雷雨
風   南の微風
波高  1メートル毎秒
使用艇 ルミナス
参加者5名(敬称略)
サイテット 橋本、秋山
ブラインド 安達、伊藤、鈴木

当初6名の計画が急な仕事で真下さんから欠席の電話。秋山さんにもお出で頂いていたので予定通り10時、出港。
エンジン音も軽やかに湾を出る。
周りにはマストにセールを揚げる艇はなく、静かに糸をたらす家族連れの船がいくつか。さすが連休初日。風はなく、波穏やかな釣り日和。
赤白ブイの先まで行くが、風はいっこうに上げてくる気配なし。走り行く船もなく、海面は鏡面の如く雲を写すのみ。
実習をあきらめ「シュミレーション・トレーニング」と洒落込む。
エンジンの回転を下げ微速前進。スキッパー橋本さん、コーチ秋山さん、ヘルムス安達さんウインドー伊藤さん、シートトリマー鈴木の役割分担が決まる。
早速次のモデルに沿って訓練を始める。

想定1 タッキング・モデル
想定2 上マーク回航モデル
想定3 ジャイブ・モデル
想定4 下マーク回航モデル
想定5 ブロー・モデル

スキッパーから指示が飛ぶ。その号令に従い、ヘルムスがティラーを動かし始める。それに応じるようにウインドーの方向が変わりブームが動き出す。合わせてトリマーがシートを操作。
この一連の流れが、時を刻むように噛み合ってはじめてヨットらしい優雅な走りを見せるのだと言う。
その場の艇の状態把握をしやすいように言葉を変えたり、カウントを入れたりしてみる。
しかし、マーク回航時は、艇の向きを変えるタイミング、回転した度合い、回転運動を止めるタイミングなどその場の状態把握がしきれず、なかなか噛み合わなかった。
「うーン。夢がまた少し遠のいたようだ。」との思い。

皆さんのチームではどのようにしておられますか。実例を集めて公開したいと思いますので、是非私宛にメールでお寄せください。
このことは晴眼者と視覚障害者との情報交換技術の原型です。スキッパーが五感で3次元的に捕らえた情報を言葉と言う1次元にして伝え、それを聞いたブラインドは頭の中で3次元情報に展開して理解し、行動に移しているからです。
バリアフリー社会を実現させる入口とも言えるでしょう。

12時30分を過ぎた頃に空を雷雲が覆いはじめる。「きっと来るぞ。」と言い、エンジンを全開にしてポートへ急ぐが、途中でスコールのような雨に見舞われる。海上で聞く雷鳴の凄まじさに声も出ない。
ポンツーンは逃げ帰ってきた船でごった返している。
三崎「紀の代」で昼食をとりながら反省会を行い、帰路についた。
風に嫌われた一日ではあったが、秋山さんの提案で行なったいままでにないシュミレーション・トレーニングに感謝したい。

ご指導頂いた秋山さん、橋本さん本当にありがとうございました。
風に代わってブームを担いで動かしてくださった伊藤さんお疲れ様でした。
また東京のニュー・チャレンジチームの私たちに「ルミナス」を貸してくださった神奈川支部の皆さん、そしてコーチしてくださったサイテッドの皆さん、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
各チームの皆さん、練習報告が無いのはちょっぴり寂しいですね。各チームとも秘密にしているのですか。自信のほどはばっちりでしょうね。
では、次回はワールド選考会でお会いしましょう。