活動報告 JBSA東京 2025年4月6日 TYCレース第2戦
活動日:2025年4月6日
イベント名:TYCレース 第2戦
事業種別:レース関連事業:レースに関する活動。安全講習会や表彰式など
活動種別:レース
担当支部:東京
使用艇:あほうどり
参加ブラインドの名前:殿垣内、金子、酒井
参加サイテッドの名前:堀江、古庄、副田、体験者
会員数:6
体験者数:1
その他:0
合計参加者数:7
集金金額:10500
集金内容:活動参加費
現金預かり者:副田
開始時刻:9時15分
終了時刻:14時48分
天候など:曇りのち雨
航行情報:53.49キロメートル
連絡事項:警告音はなりませんでした。
燃料は半分。
活動のようす:
海面にうかぶオレンジ色の大きなフィニッシュマークはもう目前。
あほうどりは何度もブローチングしながら大きくポート側へきりあがり、スピンシートをだしてなんとかたてなおし、すぐにシートを高速で引き入れ、またブローチングし、フィニッシュマークの左側へ入るのがぎりぎりのライン。
突然、バサバサバサ!と大きな音がして、「スピンがやぶけた!」との声。
ゴールマークはもうすぐそこ。メインセールのみでなんとかフィニッシュ。
しかし、本部艇からのゴールしたことを告げるフォグフォーンは鳴らない。みな、スピンがばたつく音で聞こえなかったのだろうと思い込むことにしたものの、セールダウンして落ち着いて考えてみると、次にフィニッシュしたヨットに対しては、はっきりとなっており、フライングスタートしたため戻って再スタートしたものの、まさかリコールが解消されていなかったのではないかということに、打ちひしがれる。
15ノットぐらいの風でのレースであったため、のぼりもくだりもがんばっただけに落胆。
さらに、帰路は風が20ノット前後となり、サイドステーが鳴り出し、大粒の雨までふってきて、気温もさがり、落ち込み度数は上昇。



私からみてシモ側に座っている古庄さんは、カッパのフードをなんとかかぶろうとしているが、強い風で後頭部へまわってしまい、なかなかかぶれない光景が、もはやコミカル。
こんなにがっくりしながらヨットに乗ったのは初めてだった。結局堀江さんにフードをかぶらせてもらった古庄さんは、頭のてっぺんから全身うすい緑色のシルエットで、もはや本物ののカッパ。
JBSAへ入会して8年で2時間しかティラーをもったことのない私が、今回はまさかのヘルムスを担当。
そんなことをしたら違法だろうと、今回レース前に、何度もヘルムスは無理である、それは非常に危険なことであると訴えたが、どうしても受け入れてもらえず、最後の手段としておなかが痛くなることにし、体温計も適切な圧力と速度でこすって、熱もあってでられないとしようとしたが、本当にだれも、ヘルムスがいない。



JBSAはブラインドセーリングの団体であるため、ヘルムスとメインはブラインドが担当するのがよいという、これは競技としての「4人制ブラインドセーリング」ではないときも、そのほうが良いという私の個人的見解なのだが、これを主張し続けてきただけに、ああ、やるしかないのかと、とにかく、船舶保険の証書だけはしっかり用意しておいてくださいと、なれない棒を握ることにした。
第一マークとなるカミマークまでの1時間30分、人生でこんなに長時間集中し続けたことはない。
全身の感覚を研ぎ澄ませ、必死にティラーをあやつり、堀江さんがガイドしてくれる前に修正しようとこころがける。
JBSAと青学ヨット部創設者の竹脇さんは、おしりでかんじろとおっしゃっていて、それができないんですよといったら、1センチあがってもわかるとのこと。偉人と凡人では、おしりに走っている神経の数も違うのだなと思っていたが、1時間半ののぼりで、なんと途中から、それが少しずつわかってきた。
つい数年前までは、ジブセールのタックにしわがはいったらのぼりすぎとかまで見えていたのに、いまや、せまいコックピットで他のクルーのおしりが目の前にあっても、頭の中で映像をつくっていて、遠くに本線がいて、そこを目指している映像が妄想で見えている状態。
つまり、視力はまったく役立たない。まあ、それがブラインドセーリングなのだが、進行性の私としては、なんとか見ようとしてしまうため、なかなか上達しない。逗子の岬の灯台を見て、そこを目指してディンギーに乗っていたときと同じようなことをしようと、どうしてもしてしまう。
そんな経緯もあったため、私の落胆ぶりは相当なもので、後片付けで、軽量化のためにおろした荷物を戻す作業も、なんだか前より重くなっているような気がする。



しかし奇跡がおきた。
なんと、リコールはちゃんと解消されていて、フィニッシュを告げるフォグフォーンがならなかったのは、押したけどならなかっただけとのことで、大喜び。
しかも、あとで発表されたレース結果は、クラス修正1位で優勝!
あの風の中、本当にみんなでがんばってレースをしただけに、ものすごく嬉しく、これを書いている今もまだなお、嬉しくてしかたない。




クルーザーヨットでのレースをはじめ、のんびりデークルージングでも、私はこれが大好きなのは、みんなで操船して、みんなで楽しむところ。
目が見えなくなってきたため、なくなく諦めたぐらいなのでひとりで乗るディンギーの楽しさは、もちろんよく知っている。これを諦めた時は、本当に泣き、本当に辛かった。
しかし、JBSAと出会って、こんなに素晴らしい日々を送らせてもらっている。
運営業務は大変ですけどね(笑)
この、最高な団体を、みなさまなんとか後世に残せるよう、引き続きご支援ご協力をよろしくお願いいたします。
追記:やぶれたスピンは修理することになりました。ひとまわり小さくなってしまいますけど、思いは追い風で膨らませることができます。くさいですね。
報告書作成者:殿垣内 大介
